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Wednesday, December 16, 2009

人の話を聞くということ - IR屋体験

新しいファンドのIR(Investor Relations)で香港にやってこられた方々のお手伝いをさせてもらいました。

アセットマネージャー会社からやってきた優秀な女性がバシバシとプレゼンするのを横でみながら、私はチャーリー・チャップリンがデヴィッド・ニーヴンにあげた演技のアドヴァイスの話を思い出していました。

当時まだまだイギリスからハリウッドに流れ着いたばっかりの「なんちゃって」新米映画俳優だったニーヴンに、映画俳優として大先輩のチャップリンは次のようにアドヴァイスしました。

「セリフを巧く言う事ばかりに気を取られるな。他の役者のセリフを聞く演技を磨け。」

世間では、

It's not what you say, but how you say it.

とも言いますが、やはり「ナントカ流交渉術」とか「ナントカ式プレゼン術」などとうわべだけを飾っても、結局はそれはいかに口が達者になるかということだけで、本当の意味における「The Great Communicator」への道ではないと思います。やはり基本は、

Don't say what you want to say, but say what they want to know in the way they can understand.

じゃないでしょうか。

そうした意味でも、IRプレゼンで重要なのは、初めの挨拶に続く自己紹介の折に、相手方がどのようなことを聞きたがっているのか、どのような情報を欲しているのかを、短い時間内に素早く察してあげることなのではないかと思った次第。

つまりはこっちが「話す」前に、相手の話を「聞く」ということが大切。そしてそのためにも相手に関する事前の調査、学習が必須なのでしょう。

生き馬の目を抜くようなIRの世界をかいま見たわけですが、「コミュニケーション能力のせめぎ合い」という意味では非常に興味深いビジネスだなと思いました。

Sunday, December 13, 2009

選手交代 - 厳島の戦い「毛利の船頼み」

懸案のファンド立ち上げの仕事。やはり従前の英系法律事務所は降板となり、アメリカ系で対中国投資案件では10年前から先頭グループを維持している某事務所に乗り換えた。

マーケットでの名声/評判もさることながら、こちらの問い合わせメールに対して費用見積もりだけでなく、懇切丁寧なステップ・バイ・ステップのロードマップ(仕事段取り)を提示してくれたのが、クライアントのハートをがっちり掴んだようだ。

これで思い出したのは毛利元就のこと。毛利が戦国大名としてのるかそるかの乾坤一擲の戦いであった厳島の戦い(1555年10月)。陶晴賢を厳島におびき寄せた元就は、海上制圧権を握るために、伊予の能島/来島水軍を味方につけるべく、出動を要請する。もちろん能島/来島には陶からも同様の援軍要請がくる。戦いの直前になって厳島水域に現れた水軍は、兵数で圧倒的だった陶軍(2万〜3万)ではなく、弱小の毛利軍(4千〜5千)に味方した。

その理由を問われた水軍大将、来島通康は答えて曰く、陶方はただ船を借りたいとだけ言ったのに、毛利方は「ただ一日貸してほしい。宮島に渡ったらすぐもどすであろう。」と言った。

「毛利方の一言、思い入りたるところあり。必ず勝つべし。」

海賊衆はこれに同意し、元就に貸すことにした、と。

なかなか示唆に富んだ故事ですね。

Tuesday, December 8, 2009

ボス

クライアントの大ボスに会ってきた。初の「ご対面」である。

通常日本人が相手だと、私の素性説明に30分ぐらいかかる。「なんでイギリスに行かれたのですか...」というオープンな質問にコチラがフリーハンドで答えるもんだから、とりとめのない話が終わらなくなり、収拾がつかなくなるのだ。(人呼んで「The Rime of the Ancient Mariner」症候群...詳細は下に。)

ところがバリバリにヤリ手の華僑ボスは、「珍しいね」とひとこと言った後は、もう当面の仕事の話から入っていった。

なんか小気味いい。

話も目下懸案となっているファンド立ち上げから、中国での不動産開発、シンガポール・マレーシアでのカジノ開発、フィリピンのインフラ投資へと、なんか壮大なことになってきた。

ついて、いきまっせ〜...大将!と、気分は源頼光にひろわれた金太郎。もっとも向こうの筆法だと、梁山泊なんだろうな。

注)「The Rime of the Ancient Mariner」はイギリスの詩人、サミュエル・テイラー・コールリッジの作品中、最長の作品。全文朗読すると30分ぐらいかかる。詩中の物語の出だしは、新郎の縁者が結婚式の宴会にきていた不思議な老人(題名中の「年老いた船員(Ancient Mariner)」に引き止められ、「なんでオレを引き止めるんだよ、オッサン("By thy long beard and glittering eye, Now wherefore stopp'st thou me?")」と尋ねたとたんに、延々とおじいさんの冒険の話を聞かされるという甚だハタ迷惑、かつお気の毒な設定になっている。

Tuesday, December 1, 2009

Partner

法律事務所でミーティング。

新任のパートナー、ミーティング中意味も無く発言者を睨む。だけど受け答えはちょっと的が外れている。

なんか不安だな。

インボイス〜

会社設立後、初めての月末。月の請求書を早くまとめて送り出さなければいけないのだが、忙しすぎて時間が無い!