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Monday, May 3, 2010

海外資産の相続問題

私が香港で暮らして始めて早や7年目になりますが、毎月必ず一回といっていいほど頻繁に、次のようなご相談をいただきます。

「実は知り合いの方が亡くなられて...で、香港に銀行口座を持っておられるらしいのですが...未亡人の奥様に頼まれまして...どなたか手伝っていただける方いらっしゃらないかと...」

なかには、知り合いの、知り合い、そのまた知り合い...と、まるでミ○シィや○リーのような、ソーシャルネットワークサイトの「お友達申請」みたいにツテをたどってこられる方もおられます。こうした問題の切実さ、そして助けの手を差し伸べる人たちが少ないことを、ものがたっているのでしょう。

遺族の方にしてみれば、故人以外はだれも詳細を知らされていなかった海外資産であり、あってくれればあってくれるにこしたことはないけれど、言葉の壁もあるし、お葬式を済ませたばかりで、まだまだ諸事多忙な折にアテもツテもない香港くんだりまで出かけていって、あるやなしやの銀行口座と資産を探しに出かけるわけにはいかない...というのが偽らざる事情でしょう。

私としても、せっかく縁をたどってご相談にきていただいた方の為に、できることならお力添えして差し上げたいのですが、生前面識もなかった故人の方の代理に、ご本人が亡くなった後になりすますわけにはまいりません。また、遺書無くして亡くなられた方の遺産相続を、香港で執行する為には、死んだ方の居住国において遺産相続に関する詳細が決定するまで、留保されてしまいます。また、そのような日本での諸手続きに関する書式等を、英訳/公証しなければなりませんので、必然的に時間とコストがかかることとなります。

あるかなしやの遺産を目当てに、その遺産の大部分を取り崩すことになるお仕事を、終着地点が全く見えない時点で引き受けることになるわけです。どうみても関係者の皆さんに喜んでいただける「いいお仕事」にはなりえません。そこで不本意ながら敬して遠ざけさせていただいております。

もっとも最近では、ご本人の存命中に、資産継承の簡便化を図るサービスも提供されているようです(コチラをご参照ください)。

しかし、こうしたご相談を多くうけているうちに、問題の根本的な解決にはなりませんが、まずは解決への第一歩である手続きを、皆さん忘れられていることに気がつきました。

それは故人の口座の凍結です。

遺産相続の実務においては、まず最初に故人の資産の保全を図らなければなりません。あまり考えたくないことですが、もしかしたら、遺族の方々がご存知のない人物が、故人の名義を騙って口座の資金や資産を流用している可能性もあります。

そのような事態を避ける為にも、銀行などに速やかに本人の死亡の旨を伝え、資産の保全を図ることが肝要です。

例えばHSBCに限って申し上げれば以下の手続きを踏むことにより、口座の凍結がたいてい可能になります。


  1.  故人のパスポート(その他本人確認ができる文書)のコピー、および死亡届のコピー(双方とも英文で真正証明を付ける)を用意する。真正証明に関しては、弁護士/会計士/司法書士/税理士など(公証人である必要はない)など、日本に星の数ほどある「士業」の有資格者にお願いし、以下の文言の書き込み、そして署名をしてもらう。

    I, [弁護士/会計士/司法書士/税理士などの個人名], a qualified and registered [attorney/accountant/solicitor/tax attorney...] in Japan, of [署名者の住所], hereby certify and confirm that this is a true copy of the original document.

    なお、死亡届記載の住所および本籍地がパスポート(その他本人確認ができる文書)でも確認できないといけませんので、パスポートの住所・本籍地記載ページ(最後のページ)もコピーしてください。
  2. 死亡届(また本人確認文書がパスポート以外の日本語文書の場合)は英訳を添付する必要があります。こちらの翻訳にも、以下の英文真正証明の文言と、署名が必要です。

    I, [弁護士/会計士/司法書士/税理士などの個人名], a qualified and registered [attorney/accountant/solicitor/tax attorney...] in Japan, of [署名者の住所], hereby certify and confirm that this document is a true English translation of the original Japanese document.
  3. これらパスポート(その他本人確認文書)、死亡届、英訳の書式一式に、カバーレター(文案を以下に記載しておきます)を次の宛先まで送ります。
    HSBC Deceased Account Section
    HSBC Centre
    1 Sham Mong Road
    Kowloon,
    Hong Kong

    カバーレターの文案は以下のとおり。

    [日付]
    Dear Sir/Madam,

    My name is [故人の代理の方のお名前], and I am acting for and on behalf of the estate of [故人のお名前], who died on [死亡日時].

    I have enclosed herewith the copies of the deceased' [passport/その他本人確認文書] and certificate of death, with its English translation.

    Upon receipt of these documents, I would be grateful if you could immediately freeze the deceased's accounts with HSBC, the details of which are as follows:-

    Acount Name: [故人の口座名 ]
    Account Number: [口座番号]

    I, or any other person duly appointed to represent the deceased's estate in HK, will contact you in due course for further actions to be taken in relation to this matter. In the meantime, please let us know if you require any further action from us in relation to freezing of the said account.

    Yours,
    [代理人署名]
    [代理人連絡先]


あくまでもご参考まで。

オーストラリアの鉱山税

収益に40%の課税とは...オーストラリ労働党("R" "U" "Double D"= Rudd)やることがえぐいですな。

FTの記事はこちら