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Wednesday, April 28, 2010

シンガポールにおけるファンド規制の強化

シンガポール当局がファンドの規制強化に乗り出してきています。

FTの記事はこちら

金融危機以降、特に昨年中から予告されていたことなので、「え〜っ!」というよりは「ついに」という感じのニュースですね。

最近では目論見書の中でシンガポール籍のマネージャー会社法人について言及する場合も、

「シンガポール金融当局(Monetary Authority of Singapore)に適用外マネージャーとして登録された...」

と言えず、

「シンガポールに適用外マネージャーとして存在する」

という記述を強制させられていました。

シンガポール当局としては、とにかく関連づけられたくない、縁を切りたい、という「けんもほろろ」な対応だったわけです。

数年前、積極的にファンドビジネスの招致に躍起になっていた頃は、

「アジアのオフショア・センターを目指す!」

と意気をあげていたのに、逆風と海外からの圧力で手のひらを返したようなこの仕打ち。

あんまりと言えばあんまりですが、これが事実上、一党独裁政権であるシンガポールのリスクと言えるでしょう。鋭角にコーナリングしてくる政策変更と、その施行の徹底ぶりはさすがです。

「別れろ、切れろ」

は、芸者のときに言う言葉ですが、大事なお金を預かり運用する人には、簡単に「死ね」とも言えません(*1)。今回の規制強化でスキームのリストラクチャリングの必要性が生じる方、どうぞお気軽にお問い合わせください。

*1 「なんか物騒な話をするコンサルだな」と、早とちりをされた方。泉鏡花の「婦系図」です。念のため。

Tuesday, April 20, 2010

Tuesday, April 6, 2010

中国人とのビジネスの場で絶対口にしては行けない事

「もうお昼の時間ですが、ランチはキャンセルして、このまま会議を続行しましょう。」

コチラのブログからの受け売りですが、なかなか的を得ています。

誰から聞いたのか、どこで読んだのか、失念しましたが、私が好きなのは次のような言葉です。

「一緒にビジネスをする人とメシを喰うのではない。一緒にメシを喰うような人とビジネスをするのだ。」

香港で環境保護ビジネスの博覧会が開かれます(11月3〜6日)

入会したばかりの当地香港の日本人商工会議所の、中小企業部会による「環境セミナー」に、先日出席させてもらいました。

もうみなさんご存知のことですが、現在の中国は急速な経済成長の代償として、深刻な環境問題に悩まされています。

かつては日本も通ってきた道です。私が小学生の頃、学校の休みに葛飾の家から母の実家の横須賀まで行くと、川崎あたりから空の色が目に見えて変わっていたの、幼心にも覚えています。

そうした公害克服の先達として、日本企業のノウハウ、特に中小企業の技術力に期待しているとの、香港側からのお話がありました。香港としては、かかる日本企業の中国進出への橋頭堡として、香港を存分に利用してほしい、また技術提携/ライセンシングのハブとしての自らの国際地位を高めたいという思惑があるのでしょう。

そこでご案内があったのが、今年11月の3日から6日にかけて、香港で開催される「エコ・エキスポ・アジア」。詳細はコチラから。

(二年前の同様の催し物のレポートはコチラ。)

これからJETROなどでも、日本中小企業向け出展サポートのサービズなども提供されるでしょうが、当展覧会や環境ビジネスに関するより詳細の情報、またこの展覧会の機会に弊社スタッフによるサービスのご利用のご希望ございましたら、お気軽にご連絡ください。

ファンド、金融の話題に偏りがちなこのブログですが、弊社のモットーは「貴社の海外ビジネスのお供」です。お問い合わせ、お待ち申し上げております。

Saturday, April 3, 2010

中国ビジネスにおける香港持株会社を利用するメリットと注意点

ご存知の皆様には、「いまさら...」なトピックではありますが、備忘の為に。

中国本土の現地法人への資金注入や、配当金などで利益を還元することを目的に、香港に持株会社を設立することには、以下の利点が伴います。

1. 中国小会社から親会社へ支払われる配当金に対する源泉徴収額への優遇。外国籍の親会社に支払われる配当には原則20%の源泉徴収を支払わなければならないが、香港持株会社の場合、源泉徴収は5%。

2. 中国における源泉徴収を経た後、香港持株会社に支払われた配当金は、香港において課税対象とならない。(通常通りの香港税制の優遇を享受できるわけです。)

3. 中国ー香港間における、移転価格税制上の取り決めに基づき、中国小会社の製品を、香港持株会社を通じて販売する場合、かかる取引を通じて香港持株会社に生じた利益は、その50%のみが香港税務当局により課税対象とみなされる。

以下は、注意点です。

以前は、こうした香港持株会社の株を、ケイマンやBVIなどのオフショア籍の法人に100%保有させ、中国からいったん香港で吸い上げた配当金その他の収入を、最終的にオフショアで蓄積。またかかるオフショア持株会社を売却、または上場するといった、エグジット(出口)戦略がはやっていました。つまり資本取引を、すべてオフショアで行うという仕組みです。

しかし近年では、中国当局がそうしたオフショア利用によるCEPAの下の香港優遇政策の有名無実化を懸念し、香港持株会社が全くのパス・スルー、シェル会社と見なされた場合は、上記の税制上の優遇を取り消すといった動きに出るケースが多いようです。

現在、弊社がアドバイスをしている投資ファンド(大概はケイマン籍)に関しましても、いかにして、またどのレベルまで、香港持株会社に実体をもたせるか、というアドバイスに気をつかっております。

日本ー香港 租税協定への合意

以下にプレスリリースを転載します。詳細が判明次第、また詳述したいと思います。

Agreement in principle on the income tax agreement between Hong Kong and Japan
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The Government of the Hong Kong Special Administrative Region of the People's Republic of China and the Government of Japan have reached consensus on the agreement for the avoidance of double taxation and the prevention of fiscal evasion with respect to taxes on income.

This agreement intends to clarify the taxation on investment income and business profits of enterprises operating in each other's places and to avoid instances of double taxation. It promotes further investment and economic exchange between Hong Kong and Japan.

This agreement also enables both tax authorities to carry out effective exchange of information regarding tax matters in accordance with the international standard, with a common objective to prevent international tax evasion and tax abuse.

The key provisions of this agreement are as follows:

* It clarifies the scope of taxation on business profits of enterprises operating in each other's places.

* It reduces the withholding tax rates of dividends, interest and royalties paid to residents of the parties:

- the withholding tax rate on dividends is capped at 5% for a company of one side holding at least 10% of the voting shares of the paying company of the other side, and 10% for other cases;

- the withholding tax rate on interest is exempt for government institutions and capped at 10% for others;

- the withholding tax rate for royalties is capped at 5%.

* It enables both tax authorities to carry out exchange of information regarding tax matters.

* It includes provisions to prevent abuse of the agreement.

The agreement will be signed after the completion of necessary internal procedures by the respective governments. The agreement will enter into force after ratification (approval by the Legislative Council in the case of Hong Kong and approval by the Diet in the case of Japan).
Ends/Wednesday, March 31, 2010
Issued at HKT 10:00

Thursday, April 1, 2010

オフショア・スキームの維持・整理・清算などに関して

オフショアにおける法律事務所やその他プロフェッショナル・サービス産業は、1990年代以降、国際金融機関による、オフショアSPVを利用したスキームの一大ブームの波に乗り、急成長を遂げました。

しかし2008年のリーマン危機よりこの方、彼らにとってドル箱のビジネスであった証券化ビジネスが絶滅の危機に瀕しており、各々ビジネスモデルの転換に必死になっております。

ブーム時のオフショア・サービス・プロバイダーは、競合との差別化の為、トップクラスの大手法律/会計事務所より、キャリアの中堅に位置する優秀な有資格者をヘッドハントし、カリブ海、チャンネル諸島、香港などといったビジネス拠点に配していました。しかし、現在では、そのようなコスト高の中堅ジュニア・パートナー/シニア・アソシエイトを削減し、少数のパートナー・レベルのプロフェッショナルと、多数の秘書スタッフによる、大量生産体制に移行しています。

こうした余剰キャパシティーによるコスト問題と同時に、かかる「負の遺産」を継承しない新事務所を設立する動きや、以前はブティック系のビジネスモデルに甘んじていた中小規模の事務所/会社が、大手の寡占状態にチャレンジする場面も散見されるようになりました。結果として目立たないところで、競合によるフィーの「値切り競争」といった、以前ではあまり見られなかった(利用者側から見た)チャンスも出現しております。

こうした新局面を受けて、弊社におきましては、オフショア・スキームを利用される皆様が、より有利な形で各種サービスプロバイダーをご利用になれますよう、必要に応じたサポート業務を提供させていただいており、すでに数社のお客様にご利用いただいております。既存スキーム維持コストの削減、不要になったスキームの効率よい清算、または新規スキームの立ち上げなどに関しまして、ご相談、ご質問等ございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。