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Saturday, April 3, 2010

中国ビジネスにおける香港持株会社を利用するメリットと注意点

ご存知の皆様には、「いまさら...」なトピックではありますが、備忘の為に。

中国本土の現地法人への資金注入や、配当金などで利益を還元することを目的に、香港に持株会社を設立することには、以下の利点が伴います。

1. 中国小会社から親会社へ支払われる配当金に対する源泉徴収額への優遇。外国籍の親会社に支払われる配当には原則20%の源泉徴収を支払わなければならないが、香港持株会社の場合、源泉徴収は5%。

2. 中国における源泉徴収を経た後、香港持株会社に支払われた配当金は、香港において課税対象とならない。(通常通りの香港税制の優遇を享受できるわけです。)

3. 中国ー香港間における、移転価格税制上の取り決めに基づき、中国小会社の製品を、香港持株会社を通じて販売する場合、かかる取引を通じて香港持株会社に生じた利益は、その50%のみが香港税務当局により課税対象とみなされる。

以下は、注意点です。

以前は、こうした香港持株会社の株を、ケイマンやBVIなどのオフショア籍の法人に100%保有させ、中国からいったん香港で吸い上げた配当金その他の収入を、最終的にオフショアで蓄積。またかかるオフショア持株会社を売却、または上場するといった、エグジット(出口)戦略がはやっていました。つまり資本取引を、すべてオフショアで行うという仕組みです。

しかし近年では、中国当局がそうしたオフショア利用によるCEPAの下の香港優遇政策の有名無実化を懸念し、香港持株会社が全くのパス・スルー、シェル会社と見なされた場合は、上記の税制上の優遇を取り消すといった動きに出るケースが多いようです。

現在、弊社がアドバイスをしている投資ファンド(大概はケイマン籍)に関しましても、いかにして、またどのレベルまで、香港持株会社に実体をもたせるか、というアドバイスに気をつかっております。

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